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2026/09/18 18:00

<ライブレポート>劇場アニメ『ベルサイユのばら』の愛と激動の物語がフルオーケストラで蘇る――声優陣の熱唱が響かせた感動のシンフォニー

 【billboard classics 劇場アニメ『ベルサイユのばら』シンフォニックコンサート2026】が、9月6日に東京国際フォーラムホールAにて開催された。

不朽の名作アニメの映像と音楽をフルオーケストラで

 劇場アニメ『ベルサイユのばら』は、池田理代子原作による不朽の名作漫画が新たに劇場アニメ化されたもので、2025年1月に全国の映画館で公開された。18世紀後半、革命期のフランスを舞台に、激動の時代の中に身を投じていく男装の麗人オスカル、フランス王妃マリー・アントワネット。彼女らの人生を中心に、アンドレ、フェルゼンといった周囲を取り巻く人物の愛と葛藤の模様も絡めながら描きだしたドラマティックなストーリーだ。

 今回のコンサートは、その劇場アニメ『ベルサイユのばら』の世界をフルオーケストラによる生演奏と、本作品で声優を務めたキャスト陣による歌唱でたどる特別コンサート。歌唱を務める出演者はオスカル役の沢城みゆき、マリー・アントワネット役の平野綾、アンドレ役の豊永利行、そしてフェルゼン役の加藤和樹と、劇場アニメの世界がそのまま飛び出してきたような豪華な顔ぶれだ。そしてオーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団、指揮に音楽監修と編曲も手がけた和田薫という、『ベルばら』ファンのみならず、クラシック音楽ファンにも聴きごたえ充分な布陣だ。

 約5000席の大空間は期待に満ちた観客であふれかえっていた。大喝采とともに幕を閉じた特別なコンサートの模様をストーリーとともにお伝えする。

主人公たちそれぞれが描き出す愛のかたちに陶酔

 オーケストラ演奏によるプロローグ「The Rose of Versailles ~Prologue~」で荘厳な幕開けを迎えると、1770年に美しく若きマリー・アントワネットが祖国オーストリアからフランス王家に嫁ぐ華やかなシーンが正面スクリーンに描き出される。そこへ歌唱を務めるキャスト4人全員が登場。本作を象徴するメインテーマ「The Rose of Versailles」を披露し、会場の聴衆を一挙に物語の世界へと誘った。

 コンサートは前半と後半の二部構成で進行していく。前半ではアントワネットが王室に嫁ぐ場面に始まり、お忍びで足を運んだ舞踏会での運命の人であるスウェーデン出身の貴族フェルゼンとの出会い、またオスカルがアントワネットに対する良からぬ宮廷の噂を憂う一方で、フェルゼンに寄せる自身の想いと向き合う模様までが描かれる。

 アントワネットとフェルゼンが惹かれ合う様子が描かれる前半部分。アントワネットが華やかな暮らしの一方で抱える孤独感を表現した「Ma Vie en Rose」や、貴公子フェルゼンの内に燃えあがる恋情と葛藤を描きだしたソロナンバー「Soul to Soul」、そして数年の時を経て再会を果たしたフェルゼンとアントワネットとの愛のデュエット「Resonance of Love」が披露された。

 アントワネット役の平野綾が華やかに歌い上げる「Ma Vie en Rose」では、きらびやかな映像と共に明るい歌声で観客を一気に舞台へ引き込む。輝かしいだけではなく、祖国を離れたアントワネットの孤独な気持ちも感じさせる表現力豊かな歌唱に観客は引き込まれた。

 「Soul to Soul」 では、加藤和樹がアントワネットへの叶わぬ恋を歌う。心の内の葛藤を感じさせながらも、みずみずしい歌声で凛々しいキャラクター像を力強く描きだした。

 そして二人の再会のデュエット「Resonance of Love」では、そのタイトルの通り、抑えてきた想いがあふれ出すロマンティックな音楽とともに、華やかで美しい映像がシンクロし、観客を物語へと引き込んだ。ステージ上で見つめ合いながら「全て預けて 愛を誓おう」と歌い上げる平野、加藤の姿は切なさを帯び、美しかった。

 スクリーンには劇中の映像とともに、フェルゼンへの恋心に悩むオスカルの心境も描かれ、続く「心の在り処」では沢城がソロナンバーを歌い上げる。オスカルの悩ましい心情を痛切に感じさせる、圧巻の表現力に観客は魅了された。

 そして、前半の最後を飾る歌唱曲「Believe in My Way」では、沢城と平野の歌唱から始まり、途中から豊永、加藤が加わって4人の歌声が重なっていく。物語の中でそれぞれ異なる運命と想いを抱える4人の声がひとつになり、楽曲は次第に大きな広がりを見せていく。キャストそれぞれの個性を生かした歌声とフルオーケストラの響きが重なり合い、前半を印象的に締めくくった。

激動の時代を背景に描かれる愛

 後半は困窮した生活を送る民衆の不満が高まり、ついに王政に反旗を翻したのち、民衆が勝利するまでの一連のストーリーが描かれる。宮廷内で繰り広げられる贅沢な暮らしとは裏腹に、市井では生活に困窮する民の間に支配者たちへの不満と憤りが募りつつあったのだ。後半はそんな世相を映し、不穏な雰囲気を醸し出すオーケストラとコーラスによるBGM「激しく揺れる時代」で幕を開けた。

 アントワネットの傍に仕える近衛兵から、市民の怒りを目の当たりにして民衆を守る衛兵隊に移ることを志願するオスカル。劇中でアランをはじめとする衛兵隊の面々と激しく衝突する場面を描く「Never surrender」では、パワフルなオーケストラアレンジと共に、サビではコーラス隊による力強い歌声で衛兵隊のその荒々しさを存分に表現した。

 父から結婚を勧められ、自身の存在意義に迷うオスカル。その揺れる心を表現したソロナンバー「Return to nothing」では、沢城がふたたび舞台に登場し、オスカルの繊細な気持ちをたっぷりと歌い上げた。

 激動の時代が軸となった後半ストーリーにおいても、主人公たちの愛のかたちに焦点が当てられているのが『ベルばら』の魅力。劇場アニメの中でも強い印象を残すのが、平民であるアンドレが、貴族であるオスカルへの身分差の恋情に思い悩み、心中をはかる場面だ。アンドレは、オスカルに対する叶わぬ恋を嘆き、オスカルのワインに毒を入れる。いざ、毒入りのワイングラスを手にするオスカルを見て、覆い被さるようにして自らグラスを跳ねのけるアンドレ――。アンドレ役の豊永による生アフレコ演出から始まり、その揺れる心を歌うソロナンバー「Ravine」。オスカルへの愛にあふれながらも苦しみを表現した迫真の歌唱は、一連の場面をさらにドラマティックにした。

 続く沢城によるソロナンバー「Child of Mars」では、「この身を剣に、砲弾に捧げ、軍神マルスの子として生きましょう!」という、力強いセリフとともに楽曲が始まる。軍神の彫像に向かい剣を持って誓いを立てる凛々しい姿が、繊細なオーケストラの演奏とともにスクリーンいっぱいに映し出された。

 そして、怒れる民衆たちの姿を描く歌唱曲「Anger and pain」では、指揮者の誘いにより客席の聴衆もコーラスに参加しての大合唱となり、ステージと客席が完全に一つとなった瞬間は感動的であった。

 そして革命前夜――オスカルとアンドレは、この夜、長らく秘めてきた愛を昇華させ、永遠の愛を誓い、初めて結ばれるのだった。

 後半のクライマックスともいえる二人の愛のデュエット「夜をこめて」では、「秘めていた想い 溢れ出す 愛のままに」と、沢城と豊永による情感ゆたかな歌声で、二人の宿命的ともいえる愛の美しさを高らかに、そして情熱的に歌い上げる。映像もまたロマンティックに二人の愛のかたちを描き出し、歌い終えた後には「愛している…」、「アンドレ、アンドレ…。私の夫…愛している……」とセリフも。ささやき合う二人の甘くも切ない声音にひと際、心打たれた聴衆も多かったことだろう。

 オスカル率いる衛兵隊はついに革命の嵐が吹き荒れるパリの街へ――部隊の出陣とパリの街を進軍する様子を描き出すBGM「フランス革命」のオーケストラの演奏は、馬の蹄(ひづめ)や銃撃の音までもが聞こえてきそうな程、ドラマティックで勇壮、そして時に不穏な予感を抱かせる名演だった。

 しかし、アンドレが銃弾に倒れる――アンドレは、目が見えぬことを隠し通して闘いに参加していたのだ。再び舞台に沢城と豊永が登場し、オーケストラによるBGM「アンドレのすべて」にのせて、オスカルとアンドレの別れを切なく生アフレコで演じた。「蒼い瞳、その姿は…さながらペガサスの…心震わす翼にも似て…」と、オスカルを愛おしみつつ息絶えるアンドレ。そして「アンドレ…!行くな…行くな…。私を置いて…! 私を一人置いて!」と嘆くオスカル。沢城と豊永の迫真の演技は客席の涙を誘った。

 そして、悲しみを胸にオスカルがバスティーユへ進軍する様子をBGM「バスティーユへ」の勇ましい音色が表現する。オスカルが指揮を執り、民衆と力を合わせて戦う様子を、この日限りのオーケストラアレンジされた楽曲「Libération」が音楽でも雄大に描き出す。そしてついにバスティーユが陥落するも、自由と勝利を勝ち取った民衆の叫びの中でオスカルもまた銃弾に倒れるのだった。息絶えながらも民衆を見守るオスカルを背景に、BGM「自由・平等・友愛」では、オーケストラ、コーラス、そしてドラム、ギター、べースのバンドサウンドも加わり、力強いビートを効かせたアンサンブルの躍動感が新鮮だった。そして、その鼓動は、映像の中に描きだされたオスカルの儚くも美しい姿をかえって鮮烈に浮かび上がらせていた。

 天国で再び幸せに結ばれ、愛し合うオスカルとアンドレの美しい姿もまたスクリーンいっぱいに描きだされる。激動の人生を歩んだ二人が音楽とともに仲睦まじく寄り添う姿はひと際、感動的であり、会場の多くの人々がそのワンシーンに深い余韻と救いを感じさせる場面となった。

 フィナーレ――こちらも本日限りのオーケストラアレンジで優雅に演奏される「Versailles - ベルサイユ - 」を聞きながら、コンサートは感動的なフィナーレを迎えた。

 フィナーレの後は、止まない拍手とともに沢城、平野、豊永、加藤らキャスト陣が再び舞台に登場。観客への感謝の思いを告げると共に、本日の公演の感想などを語り、和やかで軽快なトークで会場は大いに盛り上がった。途中からは音楽監修、指揮、編曲を担当した和田薫も加わり、本公演のアレンジや『ベルサイユのばら』の舞台となった時代の音楽にまつわる貴重な話も披露。華やかなステージとは異なる、出演者たちの素顔が垣間見えるひとときとなった。

 最後にアンコールとして、「The Rose of Versailles」を再び4人で歌唱。華やかな歌声とオーケストラの響きが会場を満たし、歌唱を終えてもなお、客席からの拍手は鳴りやまなかった。指揮者の和田薫と東京フィルハーモニー交響楽団にも大きな喝采が贈られ、大盛況の中で一夜限りの特別なコンサートはその幕を閉じた。

text:朝岡久美子
photo:荒井大洋


◎公演情報
【billboard classics 劇場アニメ『ベルサイユのばら』シンフォニックコンサート2026】
2026年9月6日(日)
東京・東京国際フォーラム ホールA
OPEN 16:00/START 17:00

<セットリスト>
第1幕
M1. The Rose of Versailles ~Prologue~/花嫁・アントワネット/The Rose of Versailles
M2. オスカルとアンドレ
M3. Ma Vie en Rose
M4. Enchanting Masquerade/フェルゼンの謁見/暴走馬/国王への陳情/Our King and Queen
M5. Soul to Soul
M6. 放蕩の妃・アントワネット/フェルゼンとの再会
M7. アントワネットとフェルゼン/Resonance of Love
M8. オスカルの忠告/心の在り処
M9. レディ・オスカル/Believe in My Way
M10. 激しく揺れる時代/怒れる市民/決意のオスカル/いざ衛兵隊へ

第2幕
M11. Never surrender
M12. Return to nothing
M13. 愛する故に/Ravine
M14. 心は自由/ジェローデル・愛の証
M15. Child of Mars
M16. 三部会/アントワネットとの別れ/Anger and pain
M17. アンドレ・グランディエの妻に/夜をこめて
M18. フランス革命/アンドレのすべて/バスティーユへ/Libération
M19. 自由・平等・友愛
M20. Versailles - ベルサイユ -
EC1. The Rose of Versailles

出演:
オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ役 沢城みゆき
マリー・アントワネット役 平野綾
アンドレ・グランディエ役 豊永利行
ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン役 加藤和樹

音楽監修・指揮・編曲:和田薫
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
音楽:澤野弘之、KOHTA YAMAMOTO ※当日出演無し

<公演公式サイト>
https://verbara-movie.jp/news/detail.php?id=1130241

<公演グッズ 事後販売情報>
商品詳細:
https://verbara-movie.jp/goods/detail.php?id=1002800

販売サイト:
アニメタイムズSTORE
https://animetimes-store.com/shops/verbara-movie

オンラインショップ「Shop.Merchan.jp(ショップ・マーチャンドットジェイピー)」https://shop.merchan.jp/collections/billboard-classics_verbara2026

主催:ビルボードジャパン(阪神コンテンツリンク)、エイベックス・ピクチャーズ、文化放送
企画制作:ビルボードジャパン、エイベックス・ピクチャーズ
後援:米国ビルボード

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